新潟の美しい文化「塩沢紬と雪晒し」酒井織物・中田屋織物
◆新潟「雪国観光圏」の織物文化
タイミングが全然合わず、ものすごく久しぶりの国内プレスツアー(実に4ヶ月ぶり!)。新潟観光協会さんに招待いただき3月の「湯沢町、南魚沼市、十日町、津南」を巡ります。
いつも東京からは車なので、越後湯沢って片道2時間以上かかると思ってたけど、東京駅から新幹線で1時間半。片道7000円ほど!あれ、思ってるより近いし安い!
毎年フジロックに参加しているから、越後湯沢駅周辺と苗場は知ってるし、牧之通りも行ったことある。他にこのあたりには何があるんだろう?まずは大好きな布モノからスタート!
◆伝統工芸品 塩沢紬ってなあに?「酒井織物」
最初にご紹介するのは「塩沢紬(越後紬)」。やってきたのは昭和8年創業の「酒井織物」さん。最盛期には45軒ほどあった塩沢紬工房、現在は9軒で従業員を雇うのは、こちら1軒のみ。
塩沢紬は画像上から①越後上布、②夏塩沢、③塩沢紬、④本塩沢(一番下は本塩沢湯もみ前)の4種類があります。
・越後上布とは
越後上布とは、カラムシという植物の茎の繊維で作った糸を使用した麻織物。
糸から全て手作業で作られていく越後上布は、一反1000万円するものもあるという高級品で、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。って言われるとちょっと気になるよね?
こちらが原料のカラムシ。
カラムシの表皮、そして出来上がった糸。この糸を使用した越後上布はさらりと夏に適しています。
・塩沢紬とは
お蚕さんの登場により、越後上布の技術を絹織物に取り入れたのが「塩沢紬」。※塩沢紬と本塩沢は別物ですが、総称として塩沢紬と呼んでいます。
画像は強撚糸を使用した「本塩沢」。本塩沢は普通48cm幅の反物を湯もみをして38cmまでに縮めてシボ(シワ)にするという独特の製法。下が湯もみ前、上が湯もみ後。
夏涼しく、冬は暖かいシルク。そりゃ、高級だよなぁ…。
こちらが本物だけに貼ることが許されるラベル。
向こう側が透けるほどの薄い織物は「夏塩沢」。シャリ感が特徴。
使用する糸を並べるとこんな感じ。左から越後上布→夏塩沢→塩沢紬→本塩沢。
◆塩沢紬のできるまで
こちらは釜茹での工程。生糸を3時間ゆでてシルクにします。これで糸がつるつるとやわらかくなります。
工房の一番奥では図案を起こしています。
10cm幅が縮むことを考えて書かれる図案。こちらが出来上がってから、使う糸の色を染めます。
はっとするほど美しい、染め上がった糸。シルクのつや!
こちらも図案の通り、糸を染めていく作業。
静かな工房。
何人もの職人さんが作業をしてやっと1反の織物が出来上がります。ちなみに別の場所にある機織場は公開されてなく、それが昔話『つるの恩返し』の始まりだとか。
1つの着物がこんな手間暇かけて作られているなんて、考えたこともなかった。越後上布に関しては植物から育てることを考えたらもう、尊い。
【酒井織物公式サイト】※なお、こちらは一般公開はしておらず、機織体験などは「塩沢つむぎ記念館」で可能です。
◆雪国の風景「雪晒し」(中田屋織物)
越後上布を少し学んだところで紹介したいのが「雪晒し」。2月中旬と3月の晴れた日に行われるもので、雪の上に麻織物を広げるとシミや汚れを落として漂白できるんだって。
これは、雪が溶けるときにオゾンが発生して汚れを落とす。という昔ながらの知恵。
現在では2軒しか「雪晒し」を行っていなく、特に観光化もしていないので、たまたま見られたらラッキー。という感じ。
淡い色の反物が雪の上に次々に並べられていく、優しく美しい雪国の風景。この作業は1週間ほど続けられるそうです。
全国から雪晒しのために集まってくる織物。越後上布だけは「越後上布の里帰り」と言うのだとか。
この美しい伝統行事がいつまでも続いていくといいな。
【中田屋織物】
住所:新潟県南魚沼市塩沢95
お問い合わせ:雪国観光圏
※上越新幹線「越後湯沢駅」周辺観光のアレンジも可能です。
Special thanks:新潟観光協会/越後湯沢温泉観光協会
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