UKOARA、トリプルネガティブ乳がんになりました~癌発覚から治療スタートまで
2023年秋 あと2年半で50歳
「ねぇ、50歳だよ、どうする?」
「80まで生きるとしたら、あと30年だよ。あっという間だよね。」
なんて会話を、年の近いの友人とすることが増えていた。
「櫻井あっちゃんとか60代の人が次々に亡くなって、80どころかあと少ししか生きられないのかも?」
と夫に言うと、
「そんなに長く生きられると思ってるの?」
という反応。
おや?
私は、30代後半からフリーの旅ブロガー&トラベルライターとして気ままに生きていた。
忙しいときは年間6か国、国内と海外を毎月旅していた。
トラベルライターはよっぽど成功しないと大したお金にはならないけど、普通に生きていたら体験できないであろう様々なことができて、とても楽しかった。
コロナ禍で旅行の仕事がぐんと減り、コロナが明けても、以前のように旅行の仕事が沢山あるわけではなかった。
そろそろ潮時かな、50になる前にもう1回ちゃんと会社で働こう、と北欧インテリア会社の内勤(派遣社員だけど)の仕事に就いた。
安定したお給料がはいる安心感。早く仕事を覚えてメンバーのお役に立ちたい。と思っていた。
そんな矢先、私はトリプルネガティブと言われる乳がんになった。
トリプルネガティブは、乳がんの中でも一番悪性が強く、進行が速いと言われている。
今では、9人に1人がかかると言われている乳がん。私もその1人になった。
10人いたら10通りの治療がある。これは、47歳のUKOARAの乳がん闘病の記録です。
シャワーで左胸にしこり発見
2024/4/15
シャワーの時、友人からいただいたマレーシア土産のスクラブ入り石鹸で、いつもより少し強めに体を洗った。
この時、左胸にゴルフボールぐらいのしっかりしたしこりに気づいてしまう。
急に青ざめる。
シャワーの後、急いで近所のブレストセンターを探す。
吉祥寺のMブレストセンターにWEB予約を入れるものの、2週間後しか空いていなかった。
これ大丈夫?もっと早い方が良くない?
4/16
翌日ブレストセンターに電話をすると、予約なしでも大丈夫とのこと。
次の日に行ってみることにした。
4/17
ブレストセンターでエコーとマンモグラフィ、検針をする。
麻酔をしたので検針は全然痛くなかった。バチン!と4回も採った。
韓国で受けた水光注射に比べれば、ほとんどのものが痛くないと思うようになっていた。
若くてもの静かな先生だった。
4/20
コヤナギユウちゃんと最高に美味しい韓国チキンを食べに行った。
乳がんの先輩であるユウちゃんに「乳がんじゃないといいな…。」と不安をこぼす。
ユウちゃんの実録マンガ→ おっぱい、グッバイ。「おひとりさまの乳がん体験記」
検査結果は乳がん、グレード3
4/某日
検査結果は乳がん。一番進行が速く悪性の強いグレード3。
抗がん剤を使用すると言われる。
ステージはまだわからない。
しこりの大きさ的にはステージ2か3。他に転移が見られれば、ステージ4になる。
ステージ4だったら?私死ぬのだろうか?
抗がん剤の恐怖、転移の恐怖、死の恐怖に襲われる。
いつもお世話になっている派遣会社にSMSで報告をした。電話をすると泣いてしまいそうだったから。
4/某日
職場でマネージャーに病気の旨を伝える。
泣かずに伝えられた。
4/24
癌とわかってから、胸の痛みが気になるようになった。
クリニックで教えてもらったTK病院のソーシャルワーカーの方に電話をしてみた。
胸の痛み、転移していたらどうしよう。そんな不安を伝えた。
職場の外だったけど、目には涙が溜まっていた。
しかし、癌になったのに、一番気になることは見かけで、ウィッグどうしよう、髪の毛ってどうやって抜けていくんだろう?とかそんなことを悩んでいた。
◆悲しい気持ちの元をたどる
自分の死を考えた時に、一番嫌なのが夫と別れることだった。夫に寂しい思いをさせてしまう。
そして3匹の猫と別れること。
癌だとわかり、自分の死をリアルに感じた時に、幸せだったなぁ。と思うのが、日常の風景だった。
週末、夫と食べる朝ごはん、毎晩夫が用意してくれる夕食、何気ない会話。そういうものが自分にとってなにより平和で愛おしい時間だったんだなぁ。と感じるようになった。
普通の日常がキラキラ輝いて見えるようになった。
これがキャンサーギフトなのか。
できれば関わりたくなかったけど、死がリアルになると、今まで見えなかったものが見えてくる。
人はいずれ死ぬし、それが早いか遅いか。
でも、もう少し夫と一緒にいたかった。
ごめんね。
毎日泣く。精神的に不安定な日が続く。
4/25
乳がんのステージ結果が出るまでに、とにかく検査をする。
この日は、八重洲でMRI。
造影剤を身体に入れることにびびったけど、何の痛みも問題もなく終わった。
音がうるさく、深く呼吸しちゃダメと言われると呼吸のタイミングが難しくなり、パニックになりそうになる。
これだけ医療が進んでいるのに、もう少しどうにかならないのかな。
4/27
注文していたウィッグが届いた。かなり自然で安心。
今後の予定が全く立てられなくなったので、5月に予約していた星野の宿をキャンセルした。10月までに行けるといいな。
4/29
GW前半、天気も気分も良かったので西葛西にインドカレーを食べに行った。
抗がん剤が始まると味覚障害がおこるらしい。
美味しいものを今のうちに食べておく。
4/30
寝る前に急に不安になる。転移してたらどうしよう、末期だったらどうしよう。
夫に「死んだらごめんね。」と泣きながら謝る。つらい。
5/1
Mブレストセンターへ行くと、目黒のTK病院を紹介される。今後はTK病院に通うことになる。
5/2
夫とTK病院へ行く。広くて人が全然いない病院。
先生は、ブラックジャックがプリントされたユニフォームにKEENのサンダル姿。
好感度高い。ブラックジャックよ治しておくれ。
ゴールデンウィークを挟んでいるため、なかなか検査結果が出ない。
乳がんには5つのタイプがある。その中の1つ、トリプルネガティブだった場合は、また別の病院を紹介すると言われる。
この病院では、トリプルネガティブタイプの患者に使用する薬・キートルーダでまれに見られる副作用に対応できないというのがその理由。
その副作用を恐れ、勧められても半分の人が使わないというキートルーダ。
そんなリスクがある薬怖いんだけど?どうかトリプルネガティブではありませんように。
抗がん剤を半年間続け腫瘍を小さくしてから、手術。
今の仕事の更新してもらえなかったら大変だな。
その後、歯科医院へ。がん治療の前に虫歯を治さないといけないらしい。
いつもの先生に励まされて泣きそうになる。幸い虫歯はなかった。
5/3 医療用ウィッグを買いに西新宿へいく。
人工毛のものは、毎日使うと3か月くらいでダメになるらしい。
楽天で安いものを2つ買ったので、3つを順番にかぶれば10ヶ月くらいは持つかも?
私、そんなに長く生きられるのかな?と思いながら生きるための準備をする。
◆医療用ウィッグとおしゃれウィッグ、おうち用ウィッグの違い
医療用ウィッグを探していると、他にも、おしゃれウィッグ、リラックス用など出てくる。
何が違うの??と調べると…。
・医療用は手植え、通気性が良い
・おしゃれウィッグは、ミシンで縫い付けてある
・おウチ用(リラックス用)は、内側がレースではなく布でしっかり縫われている。1枚でかぶっても頭皮がチクチクしない作り(通常は水泳帽のようなキャップをかぶる)。
結局私は6つのウィッグを買ってみたけど。1つは医療用で3万円弱、その他は5千円前後のもの。
安くていくつか持ってる方がいい気がする。
5/9
YメディカルキューブでPET CTを撮る。
PET CTとは放射線を含む薬剤を体内に投与してカメラで撮影するもの。
投薬する時点から、放射線を避けるような雰囲気(こっちは被爆しているというのに…)。
待機する個室も、昔考えた近未来というか、ディストピア感があった。
ちなみに、Yメディカルキューブは、院内のレストランや入院食がミクニで気になってしまった。
トリプルネガティブ、ステージ2B、リンパ転移有り
5/14
TK病院でステージとタイプの結果を聞きに行く。
ステージ2B。リンパ節転移有り。他に転移してなくて良かった!
タイプは、トリプルネガティブ。
聞きたくなかったトリプルネガティブ。
「今からT病院に移動してください。」と言われ、紹介状を持って移動。
ブラックジャック先生が良かったよ。不安しかない。
乳がんとわかっていろいろ話を聞いてもらっていたのは、コヤナギユウちゃん、
高校の同級生で看護師のAちゃん、そして、数年前に乳がんに罹った姉、留学時代のドイツ人の友人。
ユウちゃんに不安を告げ「キートルーダ、キートクーレ。」とふざけていた。
Aちゃんは「T病院!看護師の憧れの病院だよー。」と病院推し。それは安心だ。
港区のT病院に到着。完全紹介制の病院だけど、人がいっぱい。
まずは先生にキートルーダが不安だと伝えよう。
かなり待って、外科の診察の順番がまわってきた。
キートルーダを使う治療について悩んでると伝えると、
「中途半端な治療ならしないからね?」=選択の余地なし
「あなた(治療方法を選べるほど)、それほど良くないからね?」=選択の余地なし
「あなたなんて割り込みしたようなものなんだから。他にも待ってる人いるからね。」=選択の余地なし
と次々に冷たい言葉をかけられる。え、やっとたどり着いた病院がこれ?大丈夫?
こんな人にオペされるの?すごく嫌なんだけど??
キートルーダもそうだけど、医師の言葉がショックで、悲しさと不安を抱えながら、次は腫瘍内科の先生の診察。
私の場合は腫瘍が大きいため、24週かけて抗がん剤治療をし、癌細胞が小さくなったところでオペをする。
つまり、最初のうちは、主に腫瘍内科の先生にお世話になる。
ここでキートルーダの不安を話せば良かったのか!
乳がんのタイプにより、使用する抗がん剤も通院パターンも違い、私の場合は、最初の12週は毎週抗がん剤治療を受ける。
タイプによっては、2週間に1度や3週間に1度のパターンもある。
しこりがまだ小さければ、先にオペをしてから抗がん剤治療を始める人もいる。
不安だったキートルーダの副作用は、いきなり現れるわけではないので、気になる症状が出たら次の週に伝えてくれれば対応するとのこと。
いきなり症状が出て重傷になってしまうのかと思ってたので、安心。説明大事。
抗がん剤の副作用は怖いけど、やっと治療ができるという嬉しさがある。
5/15
心エコーや追加採血。
いよいよ来週から抗がん剤治療がスタートする。
しこり発見から抗がん剤治療まで1ヶ月
毎回引っかかっては、再検査をしていた乳がん検診。
去年の10月、いつもと違う医療機関で検査したら引っかからず、完全に安心していた。油断していた。
私はなんとなく大丈夫、なんて思っていた。姉が数年前に乳がんに罹っていたのに…。
しこり発見から抗がん剤治療がスタートするまで、私の場合は1ヶ月かかり、その1ヶ月の不安はかなりのものだった。
日本人の乳がんは、40代後半から50代前半に多いと言われ、47歳の私もピンポイントでその一人になった。誰でもかかる病気。
乳がんの報告を迷わずしたのは、今でも集まってご飯を食べに行く高校のダンス部のグループLINE。
「乳がんになってしまった、みんな、おっぱいをごしごし洗ってくれ!早期発見できるのは自分しかいない。」と。
ステージ2Bならまだ生きられる、治せる。
体調は?医療費は?仕事は?不安な要素いっぱいのまま、更に不安な抗がん剤治療に臨みます。
アイキャッチ↑何も関係ないけど、なんでもない週末の夫と食べる朝ごはん。
病院や病気関係の写真は見る(思い出す)だけで吐き気がするので、なるべく載せないつもり。
◆本サイトではアフィリエイト広告を利用しています
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