織物×現代アートの祭典【FUJI TEXTILE WEEK2022】レポート
FUJI TEXTILE WEEK2022がスタート
2022年11月23日(水)から12月11日(日)までの間、山梨県富士吉田市下吉田でテキスタイルと現代アートのお祭り「FUJI TEXTILE WEEK2022」が開催されています。
織物産業の街として繁栄した富士吉田市。今年で2回目の開催です。
①アート展「織りと気配」は国内外のアーティストと機屋さんが共同制作をし、その作品が町の10ヶ所に展示されます。※入場料:一般1000円(高校生以下、富士吉田市民無料)
②産地展「WARP & WEFT」は産地の歴史と時代に合わせ進化したテキスタイルと商品の紹介&展示会です。※入場無料
1日で歩いて見て周れる程よいサイズ感の芸術祭をレポートします。
①総合案内所(旧ニコル喫茶店)でリストバンド交換
富士吉田市は新宿から1時間半という近さ。
今回はバスタ新宿から高速バス(下吉田バス停下車)を利用しました。※片道1750円。
まず、下吉田商店街の真ん中にある総合案内所=旧ニコル喫茶店へ向かいます。
中央道下吉田バス停より徒歩15分、電車の場合は下吉田駅からは徒歩5分ほどです。
こちらは約40年前は喫茶店だった場所。レトロでかわいい外観。
どの会場でも受付をしているのは本町大好きおかみさん会のメンバー。
地域とのつながりがあるイベントにほっこり。
チケットをリストバンドに交換して公式パンフレットとニシウラマップをもらいましょう。
公式パンフレットは日本語と英語があるのでしっかり中を確認してね。
②パトリック・キャロル / Patric Carroll《Memoriam/追悼》旧ニコル喫茶店
最初の展示会場は、総合案内所と同じ旧ニコル喫茶店の2階です。
カリフォルニアのアーティストパトリック・キャロルの作品が並びます。
1970年代の家庭用手編み機Studio sk-560を使い、パンデミック中の2年半の間に作られた作品。
父の死とパンデミック、2つの悲しみを抱えた作者の気持ち(シェイクスピア、歌詞、ポケモンなどから引用)が編みこまれています。
③安東陽子《Aether 2022》KURA HOUSE
テキスタイルデザイナー安東陽子の作品は、約80年前の蔵「KURA HOUSE」に展示されています。
光と影が印象的な空間。
天井から降りてくるキュプラの糸は風に吹かれゆらゆら、美しい。
この糸の束は1階から3階まで繋がり光が貫いているように展示されているのもポイント。
最後に動画置いておきます。
④村山悟郎《頑健な情報帯》旧糸屋
次は旧絹屋街の中心にあった旧糸屋へ。
ここで見られるのは、村山の手書きの作品を富士吉田の機屋との共同制作した作品。
今回の作品は、この数理モデルのプログラムを用いて、そこから生じるパターンの性格を分析し、その規則性とランダム性を比較しています。またそこから生命理論や情報工学の分野で体系的に論じられるようになった「情報のロバストネス (頑健性)」を測ることができるとも語っています。
説明文が難しくてよくわからなかった、ごめん。
機織りに使われているのは紋紙という穴の開いた厚紙。
プログラミングの原型ともいえる機織りの技術で、その大量のデータ(厚紙)が窓枠に貼られ、晴れた日には美しい光が差し込みます。
⑤小林万里子《足を汚し、世界を開く》月江寺池
昭和の頃はボートを浮かべていたという月江寺の池。
自然に溶け込むように月江池に展示されているのは、小林万里子のインスタレーション。
パークホテル東京のアーティストルームを手掛けた絵柄と刺繍が美しい作家さんです。
胎児のような白い馬はこの地域では神聖な生き物。小室浅間神社で大切に扱われています。
生命とか生態系サイクルとかそんなことを考える作品。
ただ、作品との距離がかなりあるので、細部まで見られないのがもったいない。もう少し近くで見たかったな。
⑥村山悟郎《自己組織化する絵画<過剰に>》旧文化服装学院
次にやってきたのは旧文化服装学院。UKOARAの母校でもある新宿文化服装学院連鎖校で1956年に開校。1970年代~1980年までこの場所で開校していました。
受付のある2階へ上がります。
麻ひもを織り、キャンバスに見立てた立体作品。近くで見ると爪楊枝のようなトゲもある。
⑦エレン・ロット / HELENE LAUTH《とまらないもの・ON GOING》旧文化服装学院
奥の部屋には富士吉田で滞在制作をしていたフランス人アーティストエレン・ロットの作品。富士吉田で撮影した写真をコラージュし、織り上げています。
商店街のファサードの形をそのままデザインした作品もおもしろい。
⑧高須賀活良《NEGENTROPY(ネゲントロピー)》旧文化服装学院
同じ建物1階の展示も忘れずに。
黒い布をめくって入ると…。
土でできた富士山?
こちらは、テキスタイルのエコシステムを描いた作品。
廃物の古着を糸に戻し、キャンバスを制作(シャツの袖が顔をのぞかせている)。そこに土や水を塗布し、時間の経過とともに土に還っていく過程を表現しています。
⑨シグリッド・カロン / Sigrid Calo《Details of Every Day Gold》福源寺
商店街から少し歩いてやってきた福源寺。
秦の始皇帝の家来・徐福がこの地で織物を伝えたと言われている場所。
こちらでは、繊維工業と深いつながりのあるオランダ・ティルグルブを拠点とするシグリット・カロンのインスタレーションが見られます。
日本の織物のような黄緑色のテキスタイルは、ティルブルグの織物博物館Textilelabで開発され、織られたもの。
富士吉田で1日を過ごし、この場所や福源寺で感じたものをデザインに落とし込みました。
ここのインスタレーションは建物、富士吉田の風景、自然と調和して生き生きしていた。
⑩YUIMA NAKAZATO《Behind the Design》FUJIHIMURO
レトロ感がいいFUJIHIMURO。
旧富士製氷の氷室をリノベーションしたギャラリーです。
パリオートクチュールウイークのために作られた、4分の1スケールのスタディーモデルが並ぶインスタレーション。平面の布を立体で見せる面白さがわかる展示。
⑪落合陽一《The Silk in Motion》小室浅間神社
小室浅間神社の神楽殿に設置した大型LEDで上映される神話。
小室浅間神社の神楽殿には地域に古くから伝わる甲斐絹(かいき)の映像と、神社に伝わる物語をテーマに、メディアアーティスト・落合陽一がAIを用いて加工生成した映像作品が大型LEDに浮かび上がります。
ここでも織機とコンピューターの共通性を体験できます。
そして、すぐ横には先ほど登場した白い神馬ちゃんもいます。
旧スルガ銀行をリノベーションしたカフェ「FabCafe Fuji」
ランチにおすすめなのは2022年11月にオープンしたばかりのFabCafe Fuji。
旧スルガ銀行をリノベーションしたおしゃれなカフェです。
広々とした居心地のいい店内ではラザニア(1000円)をいただきました。ボリュームあるしサラダも美味しい。
コーヒーも好きな味。Libbeyの食器もよい。
ここは、同じ通りにあるSARUYA HOTELが運営するカフェ。始めて訪れる知らない街にこんな素敵なカフェがあるのは安心材料の1つ。
産地展「WARP & WEFT」
FabCafe Fujiの3階では産地展「WARP & WEFT」を開催中。
原点である甲斐絹の説明から始まり、山梨で作られる織物の歴史や現在のライフスタイルに合う商品を展示しています。
特に気に入ったのは(有)田辺織物の座布団カバー。
お寺や高級旅館で使用される高級座布団カバーが北欧風デザインになって登場。
これは欲しくなる。
近くで見るとプリントではなく織物と気づく日傘。こちらもデザインが素敵。
お豆腐屋さんをリノベーションしたカフェ&ベーカリー「FUUTO」
帰りのバスの時間まで少し時間があったので、立ち寄ったベーカリー&カフェFUUTO。
お豆腐屋さんをリノベしたカフェで(店名なるほど!)、2022年1月にオープンしました。
店内にはどら焼き用の鉄板もあり、毎朝焼いているとのこと。
こちらでは深煎りドリップコーヒー&長野産リンゴのパンナコッタをいただきました。どら焼きもおいしそうだった。
1DAYトリップにちょうどいいFUJI TEXTILE WEEK2022
この日はゆっくり一人で見学+カフェ2軒で約5時間滞在しました。
もう少しサクサク見るなら3時間~3時間半もあれば十分です。
雰囲気が伝わる動画も置いておきます(約35秒)↓
富士山が迫る圧倒的な景色も素晴らしく、布好き&現代アート好きには絶対楽しいこの土地ならではのイベントでした。
FUJI TEXTILE WEEK2022の基本情報
FUJI TEXTILE WEEK2022公式サイト
会期:2022年11月23日(水)~12月11日(日)※期間中の月・火休館
会場時間 :
平日 10:00 – 16:00(15:30 入場受付終了)
土日・祝日 10:00 – 17:00(16:30 入場受付終了)
会場:山梨県富士吉田市下吉田本町通り周辺
観覧料:アート展 1,000円 (高校生以下、富士吉田市民無料)
産地展 入場無料
今回のルートがこちら↓
※FUJI TEXTILE WEEK事務局様に招待いただきました。
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